


この数年、同じく、一緒に歩んできた子供たちとも、一旦のお別れのときを迎えました。この作品を描いたのはともちゃん。最初、彼にはほんとにてこずり、大変な思いをしました。落ち着いて座っていられない、会話が通じない、通じていてもその先に進まない。なかなか自分の望むような進歩が感じられない時間が過ぎましたが1年経って2年が経つと・・・。いつの間にか、目を見て話せるようになっていました。彼に対しては意図的にきつく、KAzが話す普段の口調(=ご存じの方はわかると思いますが、相当に口が悪いです)で叱る、指示をするの繰り返しでしたが、それが良かったのか悪かったのか、いつしか、その中でのコミュニケーションができるようになりました。この子ももちろんですが、彼のお母さんは、よくぞ、KAzのこの口調をこの数年間、黙って見守ってくれたな、と本当に感謝です。この作品、見てください。始まった当初は、まったくしかとで関係の無い絵を描き続けていた2時間でしたが、いまでは、こんなに素敵な作品が描けるようになりました。彼の作品の特徴は若干のブラック。家に来たサンタクロースを追い払う、みんなで食べるクリスマスケーキに乗ってるサンタの顔が怒ってる(笑)。一体、どこからこんな発想がこの子に沸くのかわかりませんが、ほんっとに、大きく成長できました。


いっせいくんとりょうまくん。彼等兄弟にも、最初はなかなか心を開いてもらえず、実は悩んだ時もありました。どうして泣かれるのかわからない。施設の先生にはなついているのに、なんでKAzは無視されるのか、等々。おそらく・・・おそらくですが、きっと、自分の中のどこかで焦りがあったのと、対等の立場に立っていなかったからじゃないかな、と思います。もちろん、いつでもその気持ちではいました。でも、彼らの心の中には、自分達が理解できていない〝進行形〟の何かがあって、見た目では完結していても、実は終わっていない、実は別の事が始まっている。自分はそういう事を見落としているのにもかかわらず、表面的に「絵を描かせる」のような完成ばかり、形ばかりをおしつけていたんじゃないかと。泣く時は一緒に泣く、興味が薄れて違う事が始まったら、その違う事にも付き合う、付き添う、そんな事の繰り返しで少しずつですが、その距離縮められた、そう感じられます。わかりませんが・・・。いっせいくん、りょうちゃん、違ってたらごめん!(笑)


続いてけいちゃん。こんな普通に、コンタクト出来てる事が、ほんっとに嬉しい!この写真を見て!目が合ってます。この事がどんなに素晴らしい事か。彼にも全く無視されてきた数年がありました。感情が豊かで、どう対応すればいいのか分からない時もありました。でも、だからこそ、大きく、大きく自分自身を成長させられました。それに・・・。最後の教室であった今日、最初から、KAzの指示の通りに、作品を描いてくれました。しかも2点も・・・。最初っから描いてくれたのは今日が初めて。きっとこの子なりの気持ちの表わし方なんだなぁ~っと思うと涙がでました。

それからゆうちゃん。彼は会話もできる、口調もしっかりしてるから、ついつい、普通に接してしまいがちで泣かせてしまった事も。。。ほんとにごめんね。実は、普通に会話をしていても、自分達大人の会話や言葉の中の微妙な感情を汲み取ってしまう。涙を流されて初めて、あ、この子も子供だ!ごめんごめんごめん、という愚かな自分にも気づかせてくれました。ここ最近では、その気持ちや態度にも変化が表れ始め、彼自身大人への一歩を大きく踏み出せたこの半年だったんじゃないかな、と感じました。『家ではすごいんですよぉ~』というパパさんもうれしそうでした。ゆうちゃん、ぱぱさん、おつかれさまでした☆


聞きなれない病名で、まだまだ解明の余地を残す病気を抱えるなごむ君。一度、見切りをつけられると距離を置かれてしまう可能性があったり、なかなか解明が出来ていないからこそ、最初は、ほんっとに気を遣いました。(今だから言える事ですが!)でも、実は実は・・・そんな事は何も気にせず、お父さんと一緒にくるこの子はいつも、『先生きょうは何描くの?』『先生の今日の服はピンクだね!』と、ニコニコ、いつもKAzを支えてくれました。小さい絵しか描く事が出来なかった彼には、気がつかないように、徐々に与える紙を大きくしていき、塗る面積を大きくして、動かす手のストロークも大きくしていきました。最後には時間内にきっちり作品を完成できるようになって、ほんとによかった。手が離せない時も、先生、先生とずっと呼んでてくれたのに、声だけで、返事をしてしまってごめんね。ついついなごむ君にあまえていたのかもね。


お色気二人組のみおちゃんとれいちゃん。ほんとに仲良くしてくれた二人でした。いつしか考えながら描くようになり、色の名前を覚え、色を間違えなくなり、こうしたら?あぁしたら?という問いに対して、トライを試みるようになりました。どんどん飛び跳ねて建物が揺れた時もありましたが(笑)、KAzにとっては心地よい響き(笑)でした。ほとんどおやすみもなく、たくさんの作品ができました。

かつゆきくん。泣いて泣いて叫ぶ。最初はどうしようかと戸惑ってしまいました。大きな音が実は苦手と気がつけたのは、しばらく経ってからでした。ごめんね、もっとはやく気がつけばよかったのにね。。。。その後は一つ一つ、会話をしながらゆっくりと、穏やかに、自分のペースで作品に打ち込む事が出来るようになりました。こうして、二人一緒にニコニコして写真も撮れるようになりました。ホントにおつかれさまでした。
これまで、いろんな子供たちと時間を共にしてきましたが、本当にKAzの宝物になりました。その場の空気や感情の中で笑いもあり、涙もあったこの数年の中で、実は一番教えられたのは自分でした。この子たちに出会えたことは、奇跡です。実は、もしかしたら、一方的かもしれない自分の気持ちに、体当たりでぶつかって来てくれて、体で、感情で、作品で表現してくれた彼らに、本当に本当に本当に感謝です。最高のクリスマスでした。
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